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親知らず抜歯のリスクについて

今回は親知らず抜歯のリスクについて説明していきます。

上の赤丸で囲っている一番奥にある歯が親知らずです
よく歯医者さんで親知らずを抜いたほうがいいよと言われた人多いと思います!
そして人によっては普通の歯医者さんでは抜けないから口腔外科に行って抜いてきてねと言われると思います。なぜ?ただ歯を抜くだけで口腔外科に行かないといけないのか?普通の歯は抜いてくれるじゃん!と思った方多いと思います。これについても順を追って説明してきます。
それではまず親知らずはなぜ抜かないといけないのか!
まず痛みがある人!そして歯茎が腫れている人!
これは当たり前ですね親知らずが痛みや腫れの原因となっているため、痛みや腫れを繰り返しているなら抜かないといけません。たまに何回も痛くてそれでも抜かなくて耐え抜いた結果さらに悪化して入院になっている人もいます。

じゃあどうして痛くなるのか!ですが上の雑な絵を見てください(絵を描くのが下手なのはご愛嬌!)。
親知らずは奥歯さらに後ろに生える歯(第三大臼歯)、智歯といいます。日本人は顎が小さいため親知らずがきれいに生えるスペースがなく絵のような横向きに生えたり、まっすぐ生えていてもほとんど歯茎に覆われていたりします。綺麗に生えている人はあまり見ないです。
そして中途半端に生えている親知らずは矢印のところの隙間にゴミが貯まっていきます。一度詰まると中々取れないですし奥に詰まっていけば専門的な器具を使ってもあまり取れないです。
この貯まったゴミが細菌を繁殖させ、歯茎を腫らしたり、手前の歯を虫歯にしたり歯茎が腫れたりして痛みがでます。
またこれらの現象は完全に歯茎の下に埋まっている親知らずにもおきてくることがあります。なぜなら手前の歯の歯周ポケットと親知らずが繋がっているからです。
そして細菌が繁殖してしまったら親知らずを抜いて細菌を掻き出さない限りはどんどん悪化していきます。
このようなことが起こるため親知らずは抜いたほうがいいといわれます。今痛みがなくても今後そのようになる可能性が高いと判断されれば予防的に抜歯を勧められることもあると思います。
そしてこのように痛みが出てくるには月日がかかります。早い人では20代ですが、虫歯になって痛みが出てくる人達の多くは30~40代です。
人は歳と共に衰えていきますそれは顎の骨も同じです。年齢を重なると骨にしなりがなくなり歯を抜く時大変になります(若ければ骨が柔らかいので親知らずも抜きやすいです!)。そして傷の治りも遅くなるので痛みも長引きます。神経麻痺が起きれば回復力が落ちるので治りにくくなります。なので私は若いうちに親知らずを抜歯しておいたほうが良いと考えています。
親知らず抜歯のリスクについて
長々と話しましたがやっと今回の本題の親知らず抜歯のリスクについて説明していきます。
親知らずは顎の奥のほうにあるため顎の中を走行している神経に近いことが多いです。

この神経と親知らずの根っこが接していると、歯を抜いていくときに歯と神経が擦れて神経麻痺が起きます。
神経麻痺の主な症状は右なら右の下唇とその周囲の触った感覚がなくなります。簡単に言うと歯の麻酔をしたようなビリビリとした感じが唇の周りや歯茎にでます。なので米粒がついていてもわからない。唇を噛んでもわからない等の症状が出ます。見た目には現れません。完全な感覚の異常です。
この神経麻痺のリスクは色々な文献でおよそ1/100の割合で出てくるといわれています(調べたの結構前なので今は変わっているかもしれません)。
この確率は色々な症例の平均のためより細かく分析すると親知らずと神経の位置関係で神経麻痺が起きやすい症例がわかってきます。親知らずと神経が近い場合はCT画像(顎骨を3次元的に撮影できる機械)撮影を行うことがほとんどです。

スーパー雑な絵でごめんなさい。
CT画像では顎骨を正面から見ることができ親知らずと神経の正確な位置関係を確認することができます。これにより最初のレントゲン画像では親知らずと神経が重なっていたのに実際は離れていたなどを把握できます。
・パターン①
これは親知らずと神経が実際は離れていた。またはくっついているが、神経の形に変形がない場合です。神経血管束周囲には基本的に骨の隔壁があります。神経がきれいな円形であれば周りに骨の隔壁があるため神経を傷つけることはありません。この状態であれば基本的には神経麻痺は起きません。神経麻痺のリスクはかなり低いです。
・パターン②
神経が親知らずに接していて少し形が変形している場合です。こうなると神経に接しているため抜歯していく特に擦れて神経麻痺がおきます。ただ強く圧迫しているわけではないので起きたとしても軽度で一過性のことが多いです。発症リスクとしては1/50~1/100の割合と言われています。(海外の論文で以前見かけた割合です。文献は忘れたのでまた探します)
・パターン③
神経が親知らずに圧迫されていて三日月状になっている場合。これはかなり強く神経を圧迫しているため、発症リスクは1/5~1/10の割合で起きてきます。このパターンは神経麻痺が起きると中々治ってこないことがあります。ずっと残る人はあまりいないです。
とこんな感じで親知らず抜歯の時の神経麻痺はこの3パターンがありそれぞれリスクも変わってきます。
そして神経麻痺が起きたら一生そのままなの?とみなさん心配されます。
実際はそんなこともなく神経麻痺が起きた人の8割は半年もすると自然に神経が修復されて治ります。1割が1年程度で治り残り1割が一生残るといわれています。確率上は神経麻痺がおこるリスクが1/100でそのうちの1割なので1/1000の割合で一生神経麻痺が残ってしまう計算となります。
ここまで親知らず抜歯の必要性とリスクについて説明してきました。
親知らずを抜く場合はこういったリスクがどうしても付きまといます。
そして神経麻痺のリスクだけではなく親知らずは大抵の場合中途半端にして生えていなくてほとんどが骨の中にあります。なので抜歯するときはとても大変です!
たとえ神経に近くなくても抜歯するときは歯茎を切開し、骨を削り、歯をバラバラに砕いて抜歯します。削って砕いて抜歯するため、親知らず抜歯はよく工事と言われていますね。
抜歯時間は約15~60分くらいです(難易度により変わります)。抜歯するにはそれなりの技術が必要です。そのため普通の歯医者さんではあまりやらずに口腔外科に紹介することが多いです。
長くなりましたがこれが親知らず抜歯のリスクになります。
ほかにも舌神経麻痺(味覚をつかさどる神経)のリスクも実はありますがこちらは数千人に1人と言われているため省きます。起きるととても大変ではあります。
最後におまけの内容です。
下の親知らずを抜いた後の経過ですが、抜歯後大抵の人はアンパンマンみたいに顔がパンパンに腫れます。腫れのピークは歯を抜いてから3日目です。見た目の腫れ自体は1週間もすると引いてきます。歯茎の腫れは2週間程度で引いてきます。痛みに関しては歯を抜いた日の夜がピークで1~2週間かけて引いてきます。親知らずを抜く場合は誰が抜こうと必ず腫れます。なので近々大事が用事がある時などは見た目の問題が出てくるため控えましょう!
まとめ
・親知らずは若いうちに抜きましょう!できれば20代前半で抜歯するのがベスト!
・親知らず抜歯には神経麻痺というリスクがありますがCT画像でしっかりみていくとリスクを下げられます!
・口腔外科経験のない普通の歯医者さんでは抜歯してくれないことがあります。
・抜く時間にかかわらず抜いた後は1週間かなり腫れます。
ちなみに小泉歯科医院はスーパーハイリスクではない限り親知らず抜歯に対応しております。もし親知らず抜歯でお悩みの方がいればお気軽にご相談お願いします。
横浜市営地下鉄上永谷駅徒歩4分の小泉歯科医院

上の赤丸で囲っている一番奥にある歯が親知らずです
よく歯医者さんで親知らずを抜いたほうがいいよと言われた人多いと思います!
そして人によっては普通の歯医者さんでは抜けないから口腔外科に行って抜いてきてねと言われると思います。なぜ?ただ歯を抜くだけで口腔外科に行かないといけないのか?普通の歯は抜いてくれるじゃん!と思った方多いと思います。これについても順を追って説明してきます。
それではまず親知らずはなぜ抜かないといけないのか!
まず痛みがある人!そして歯茎が腫れている人!
これは当たり前ですね親知らずが痛みや腫れの原因となっているため、痛みや腫れを繰り返しているなら抜かないといけません。たまに何回も痛くてそれでも抜かなくて耐え抜いた結果さらに悪化して入院になっている人もいます。

じゃあどうして痛くなるのか!ですが上の雑な絵を見てください(絵を描くのが下手なのはご愛嬌!)。
親知らずは奥歯さらに後ろに生える歯(第三大臼歯)、智歯といいます。日本人は顎が小さいため親知らずがきれいに生えるスペースがなく絵のような横向きに生えたり、まっすぐ生えていてもほとんど歯茎に覆われていたりします。綺麗に生えている人はあまり見ないです。
そして中途半端に生えている親知らずは矢印のところの隙間にゴミが貯まっていきます。一度詰まると中々取れないですし奥に詰まっていけば専門的な器具を使ってもあまり取れないです。
この貯まったゴミが細菌を繁殖させ、歯茎を腫らしたり、手前の歯を虫歯にしたり歯茎が腫れたりして痛みがでます。
またこれらの現象は完全に歯茎の下に埋まっている親知らずにもおきてくることがあります。なぜなら手前の歯の歯周ポケットと親知らずが繋がっているからです。
そして細菌が繁殖してしまったら親知らずを抜いて細菌を掻き出さない限りはどんどん悪化していきます。
このようなことが起こるため親知らずは抜いたほうがいいといわれます。今痛みがなくても今後そのようになる可能性が高いと判断されれば予防的に抜歯を勧められることもあると思います。
そしてこのように痛みが出てくるには月日がかかります。早い人では20代ですが、虫歯になって痛みが出てくる人達の多くは30~40代です。
人は歳と共に衰えていきますそれは顎の骨も同じです。年齢を重なると骨にしなりがなくなり歯を抜く時大変になります(若ければ骨が柔らかいので親知らずも抜きやすいです!)。そして傷の治りも遅くなるので痛みも長引きます。神経麻痺が起きれば回復力が落ちるので治りにくくなります。なので私は若いうちに親知らずを抜歯しておいたほうが良いと考えています。
親知らず抜歯のリスクについて
長々と話しましたがやっと今回の本題の親知らず抜歯のリスクについて説明していきます。
親知らずは顎の奥のほうにあるため顎の中を走行している神経に近いことが多いです。

この神経と親知らずの根っこが接していると、歯を抜いていくときに歯と神経が擦れて神経麻痺が起きます。
神経麻痺の主な症状は右なら右の下唇とその周囲の触った感覚がなくなります。簡単に言うと歯の麻酔をしたようなビリビリとした感じが唇の周りや歯茎にでます。なので米粒がついていてもわからない。唇を噛んでもわからない等の症状が出ます。見た目には現れません。完全な感覚の異常です。
この神経麻痺のリスクは色々な文献でおよそ1/100の割合で出てくるといわれています(調べたの結構前なので今は変わっているかもしれません)。
この確率は色々な症例の平均のためより細かく分析すると親知らずと神経の位置関係で神経麻痺が起きやすい症例がわかってきます。親知らずと神経が近い場合はCT画像(顎骨を3次元的に撮影できる機械)撮影を行うことがほとんどです。

スーパー雑な絵でごめんなさい。
CT画像では顎骨を正面から見ることができ親知らずと神経の正確な位置関係を確認することができます。これにより最初のレントゲン画像では親知らずと神経が重なっていたのに実際は離れていたなどを把握できます。
・パターン①
これは親知らずと神経が実際は離れていた。またはくっついているが、神経の形に変形がない場合です。神経血管束周囲には基本的に骨の隔壁があります。神経がきれいな円形であれば周りに骨の隔壁があるため神経を傷つけることはありません。この状態であれば基本的には神経麻痺は起きません。神経麻痺のリスクはかなり低いです。
・パターン②
神経が親知らずに接していて少し形が変形している場合です。こうなると神経に接しているため抜歯していく特に擦れて神経麻痺がおきます。ただ強く圧迫しているわけではないので起きたとしても軽度で一過性のことが多いです。発症リスクとしては1/50~1/100の割合と言われています。(海外の論文で以前見かけた割合です。文献は忘れたのでまた探します)
・パターン③
神経が親知らずに圧迫されていて三日月状になっている場合。これはかなり強く神経を圧迫しているため、発症リスクは1/5~1/10の割合で起きてきます。このパターンは神経麻痺が起きると中々治ってこないことがあります。ずっと残る人はあまりいないです。
とこんな感じで親知らず抜歯の時の神経麻痺はこの3パターンがありそれぞれリスクも変わってきます。
そして神経麻痺が起きたら一生そのままなの?とみなさん心配されます。
実際はそんなこともなく神経麻痺が起きた人の8割は半年もすると自然に神経が修復されて治ります。1割が1年程度で治り残り1割が一生残るといわれています。確率上は神経麻痺がおこるリスクが1/100でそのうちの1割なので1/1000の割合で一生神経麻痺が残ってしまう計算となります。
ここまで親知らず抜歯の必要性とリスクについて説明してきました。
親知らずを抜く場合はこういったリスクがどうしても付きまといます。
そして神経麻痺のリスクだけではなく親知らずは大抵の場合中途半端にして生えていなくてほとんどが骨の中にあります。なので抜歯するときはとても大変です!
たとえ神経に近くなくても抜歯するときは歯茎を切開し、骨を削り、歯をバラバラに砕いて抜歯します。削って砕いて抜歯するため、親知らず抜歯はよく工事と言われていますね。
抜歯時間は約15~60分くらいです(難易度により変わります)。抜歯するにはそれなりの技術が必要です。そのため普通の歯医者さんではあまりやらずに口腔外科に紹介することが多いです。
長くなりましたがこれが親知らず抜歯のリスクになります。
ほかにも舌神経麻痺(味覚をつかさどる神経)のリスクも実はありますがこちらは数千人に1人と言われているため省きます。起きるととても大変ではあります。
最後におまけの内容です。
下の親知らずを抜いた後の経過ですが、抜歯後大抵の人はアンパンマンみたいに顔がパンパンに腫れます。腫れのピークは歯を抜いてから3日目です。見た目の腫れ自体は1週間もすると引いてきます。歯茎の腫れは2週間程度で引いてきます。痛みに関しては歯を抜いた日の夜がピークで1~2週間かけて引いてきます。親知らずを抜く場合は誰が抜こうと必ず腫れます。なので近々大事が用事がある時などは見た目の問題が出てくるため控えましょう!
まとめ
・親知らずは若いうちに抜きましょう!できれば20代前半で抜歯するのがベスト!
・親知らず抜歯には神経麻痺というリスクがありますがCT画像でしっかりみていくとリスクを下げられます!
・口腔外科経験のない普通の歯医者さんでは抜歯してくれないことがあります。
・抜く時間にかかわらず抜いた後は1週間かなり腫れます。
ちなみに小泉歯科医院はスーパーハイリスクではない限り親知らず抜歯に対応しております。もし親知らず抜歯でお悩みの方がいればお気軽にご相談お願いします。
横浜市営地下鉄上永谷駅徒歩4分の小泉歯科医院